大人のためのサイドカーという選択 サイドカーを知る 自動車とも、オートバイとも違う 知れば知るほど、もっと好きになる

サイドカーの歴史

サイドカーは、19世紀初頭のヨーロッパ(フランス・イギリス)で、オートバイで四輪の様により多くの荷物や人を安価に運びたいとの発想から生まれ、その後、普及されるにつれ、豪華な屋根付き側車を付けたものやトラックの荷台のようなものが登場しました。
当時、家族でドライブ(今で言うツーリング)やピクニックに行く光景や、商売でたくさんの荷物を運送する光景、側車が露天屋台になっている物などが日常の光景として見られるようになり、その利用形態を色々と試行されながら発展していきました。サイドカーは、“庶民の手軽な乗り物”、すなわち現在の軽自動車に相当する地位にあったと言えます。
また、戦争時には四輪自動車の数量不足を補うため、生産コストが安く、3名の兵員を輸送できるサイドカーを積極的に採用し、偵察や兵員輸送に多用されました。

様々なタイプのサイドカー

サイドカーに乗るための免許

免許区分は自動二輪車、つまりオートバイの免許になり、排気量401cc以上のものについては大型自動二輪免許が必要です。
税金、車検に関してもオートバイと同じ扱いとなっているが、任意保険については「側車付オートバイ」での契約が必要となります。
オートバイ(単車)は、運転者の年齢20歳以上で免許取得後3年以上経過していれば、高速自動車国道で二人乗りができるようになりますが、サイドカー(側車付オートバイ)登録であれば「届け済証(軽二輪)、車検証(自動二輪)に明記してある定員までの乗車が可能」なので、例えば、車検証に4人乗車が記述されていれば、「高速道路での4人乗りまでOK」ということになります。但し50ccにサイドカーを装着した場合、サイドカーに人を乗せることはできません。

写真のように3人乗りも可能です。

サイドカーの操作と車両の特性

速度と車間距離

車両重量が一般的なオートバイより重いため、停止までの制動距離が長くなるので、十分な車間距離と安全な速度で走行する必要があります。
また、十分な減速を怠ったり、ラフなハンドル操作をするとカー側の車輪や本車側の後輪が浮き上がるなど操縦困難となり、路外にはみ出す、転覆等の事故に繋がってしまうため、注意が必要です。

乗車姿勢

ハンドルを目一杯切っても肘にゆとりのある位置に座り、積極的に上半身を動かすためニーグリップをします。

ハンドル操作

サイドカーは一般的なオートバイとは異なり、コーナリングや方向転換など、いかなる場合でもハンドルを左右に操作することで曲がります。さらに、その左右非対称な形態から右と左ではコーナリング特性が大きく異なります。従って基本的なハンドルポジションは、脇を閉め、肘を絞り、手のひらでグリップを前方へ押し出すようにしてハンドルを操作します。

体を倒すのではなく、ハンドルでまがるのは、サイドカーならでは。

スロットル/ブレーキ操作

走行開始から20〜40km/hまでの低速走行時や減速時、スロットルのON,OFF等でハンドルの振れが起きやすい為、スロットル操作とブレーキ操作は滑らかに行う必要があります。

加速時の特性

本車とカー側の組み合わせはもちろん、セッティングの違いでも異なりますが、サイドカーは本車の後輪が回転して前に進もうとしても、駆動力の働かないカー側がブレーキの役割になり、カー側に寄ろうとします。また、発進加速時などアクセルを開けている間はカー側に引っ張られ、進路が斜めになる傾向があるので、注意が必要です。

直進時の特性

日本の道路のほとんどが道路中央より左側が低く傾斜しています。そのためサイドカーの進路が左側に流れる傾向が強くなることがあります。路面の状況をよく見て進路を保てるよう、左側のハンドルを少し前方へ押すように支えると、この傾向を緩和することができます。

減速/停止時の特性

アクセルを閉じると、本車はエンジンブレーキにより減速しますが、カー側は慣性の法則により前に進もうとします。そのため「アクセルを閉じる」「ブレーキをかける」など減速する際は、カー側から押されるように進路が本車側へ傾く傾向があります。この傾向は発進/加速と同様に本車とカーの組み合わせによって異なりますが、一般的にはカー側が大きい(重い)、カー側の荷重(乗車人員/荷物)が多い、減速が激しいほど大きくなります。

右回りのコーナリング特性 [左側にカーが付いた車両の場合]

カーブ手前の直線部分で十分に減速し、コーナリング中はさらにアクセルを閉じながら通過するのがサイドカーの特性を活かした最も安全で基本の方法となります。
※右カーの場合は逆に、コーナリング中は少しずつアクセルを開けながら通過します。

左回りのコーナリング特性 [左側にカーが付いた車両の場合]

カーブ手前の直線部分で十分に減速し、コーナリング中は少しずつアクセルを開けながら通過するのが基本となります。
※右カーの場合は逆に、コーナリング中はアクセルを閉じながら通過します。

コーナリング中のブレーキ

コーナリング中にブレーキを使用すると想像以上に外側に膨らんだり、内側に切れ込んだりすることがあります。そのため、カーブ前の直線部分でコーナリング中にブレーキを使う必要の無い速度まで十分に減速します。

直進時も道路の傾向を掴み、気が抜けません。大人がハマる要素のひとつです。

サイドカーのコーナリングの特性を理解し、練習することが必要です。

サイドカーの車幅

一般的なオートバイと違い、車両感覚的に最も注意すべき点がサイドカーの車幅です。見た目以上に幅があるので注意する必要があります。

クラス 車幅
250cc以上のサイドカー(車幅が1300mm以内の制限) 軽自動車(1480mm)より少し狭いくらい。
750ccクラス 5ナンバーの乗用車(1700mm未満)と同じくらい
1000ccクラスの3人乗り 3ナンバーの乗用車(1700mm以上)と同じくらい
ハーレーダビッドソン,ゴールドウイングの3人乗りクラス セルシオ以上の車幅
ハーレーダビッドソン,ゴールドウイングの4人乗りクラス 4tトラック並みの車幅

車幅があるので、渋滞にはまることも。サイドカーには心の余裕も必要な要素です。

駐車方法

駐車するときは完全に停止してからサイドブレーキ(駐車ブレーキ)を確実に作動させギアを1速に入れます。また、万一サイドカーが動き出しても壁や輪留めに当たって止まるようにハンドルを切り、ハンドルロック(施錠)をかけます。サイドブレーキのない車両(H11/6以降の登録車)ならば、別途輪止めをすることをお奨めします。

サイドカー経験の少ない方へのワンポイントアドバイス

安全な道路での低速練習

広い空き地あるいは地理を熟知した交通量の少ない見通しの良い広い道にて、制限速度より低い速度で走行します。まず直線での発進、加速、減速、制動、停止を練習し、次に極めて低速での小回り旋回,S字走行を行い、徐々に速度を上げていきながらカー側が浮き上がりそうになるときの感覚を身につけましょう。

肩に力を入れ過ぎない

ハンドルバーは上から押さえつけるのではなく、脇を締めて手の平でハンドルの両側を均一に前方へ押し出すように支えると安定します。肩に力を入れ過ぎるとハンドルの振れに対して抑えが効かないばかりか、スムーズなハンドル操作を妨げてしまいます。

車幅感覚を身に付ける

十分に車幅感覚が身に付くまで交通量の多い道路、流れの速い道路、悪天候下、夜間等の走行は避けましょう。

那須MSLでのサイドカー練習

那須モータースポーツランドでは、サイドカーの試乗車をご用意しています。安全管理の行き届いたサーキットで安心して試乗/練習が可能です。試乗の前にはスタッフによる運転講習もあるので、サイドカーに初めて乗車される方でも安心して試乗を楽しむことができます。

詳細はこちら

まずは、安全に練習できる場所を探しましょう。

那須モータースポーツランドなら、基本を学びながら、練習できます。上級者への早道です。

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