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Boys, Be Ambitious 086 2011 監督のバレンシア出張(後半) 編

2012.01.05

前出のカタルニアといえば思い出すのは1993年のレース。あの年は俺の使ってたホンダのAキットより、性能的にはワンランク落ちるはずのBキットの方が走ってたという、俺にとってはちょっとしんどいシーズンだったんだけど、ご多分に漏れずカタルニアでもBキットユーザーのさんちゃんとラウディース,タケ(辻村猛)の3人が予選から圧倒的に速く、特にタケはポールを取って絶好調!!
Boys, Be Ambitious 086 2011 監督のバレンシア出張(後半) 編
手がつけられそうもない感じで、レースはしんどい展開になりそうだった。
ところがいざ決勝が始まってみると、さんちゃんはトラブルでリタイヤ、ラウディースもトラブル発生で後退。
更にタケにいたっては、トップを走りながら転倒と、俺にとってはまたとないチャンスがやってきたかに思われた。
しかし世の中そう簡単には行かない。
こんなチャンスを待ちわびてたのは俺だけじゃないって事。
メイちゃん(斉藤明)、ワルドマンとの最終ラップまで続く激しいバトルが展開され、俺がトップで最後の裏ストレートまで来たんだけど、なんとエンドのヘアピンでワルディーに僅かに開いたインをつかれ、パスされてしまった!!
 
残るコーナーは3つ。
瞬時にワルディーの癖と過去の俺とのバトルはどうだった?と考える。
ワルディーもブレーキングが鋭く、いつも二人でブレーキング合戦をやっていたのを思い出す。
俺がインを付くのを警戒して最終コーナーでインを閉めるラインを通るように仕向ける為、手前二つのコーナーでビッタリとやつの背後につけ、インを伺う振りをする。
で、最終コーナーは俺は思いっきり立ち上がり重視のラインで、ワルディーは案の定、少しインを閉めた形となって立ち上がった。
最終コーナー出口でワルディーのアプリリアの左横に並んだ。
加速に移るのが早かったので車速は僅かに俺の方が出ている。
しかしまだ前には出てない。
しかもこの位置からだとスリップが効き辛いのだが、うまいことにワルディーがマシンを右に振り始めてくれた。
これでサイドスリップを使える。
しかし最終コーナーからゴールラインまでの距離は短い。
間に合うかなと思った瞬間に俺のマシンが「すぅっ」と前に進んで僅差で先にゴールラインをまたいだ。
 
不思議な感覚だった。
何かに押されたような感じと言うか。
きっとその年の5月1日にヘレスで亡くなった「若井が背中を押してくれたんだ!!」と思った。
俺はゴール後に泣いたことが2回だけある。
そのひとつが若井と一体になった93年のカタルニアGPだ。
ここのところ、日本人GPライダーが苦労している。
成績が全ての厳しい世界だ。
 
プロとしてライダーとして、できなければいけない事は意外に多い。
レースウィークに入る前、そして突入してからのコンセントレーションの高め方,コースの研究,限られた予選時間の使い方,タイムの出し方,今の自分の調子やチャンピオンシップ上の立ち位置,そしてライバルの認識,マシンの作りこみ具合の確認。
さまざまな要素のどこにプライオリティーを持っていくのか,モチベーションの維持,メカやスタッフとのコミュニケーション能力,まだまだ挙げたらきりがない。
 
今この時代にGPを走れているライダーは皆全日本チャンピオンばかりだ。
それでも世界に出て行くと、実際は一筋縄ではいかないのが事実。
世界を目指す全日本ライダー達よ、心して戦えよ!!世界の壁は厚いぜ!!
 
・・・fin
 
ところで、皆さんに突然のお知らせです。
3年にわたり配信してきました「boys be ambitious」は、今回のアップで最後となります。
今までご愛読ありがとうございました!
 
これからも、チームノビーの応援を宜しくお願い致します。